▼ コンビニ業界にとっては忙しい数日間だった。
▼ まずメディア各社がセブン-イレブン・ジャパンの一部OFC(スーパーバイザー)が加盟店に無断で、販売強化商品などを勝手に発注していたのではないかという疑問と批判を報道。
▼ その前日には、既に数か月前に企業側から発表があった、粗利益分配ではなく、人件費や水道光熱費まですべてのコストを差し引いた営業利益を加盟店と本部で分け合う新しいフランチャイズモデルをミニストップが発表。
▼ そしてファミリーマートが原則24時間営業を時間短縮できる新しい契約形態を発表すると同時に800人の本部人員の早期退職を募集。
▼ 時期は大幅に前ずれするが、ローソンも中間期決算の頃に24時間営業の時間短縮パターンを発表したことを含めればコンビニエンスストアはそのフランチャイズモデルを大きく変えることになる。
▼ 問題なのは契約形態が変わり、本部収入がかわることだけではない。むしろ大きい問題は営業している店、していない店、営業準備をしている店などが混在する中で商品発注をし、それを製造、配送しなければならないという至難の技を物流部隊が要求されることだ。コンビニの分刻みでの正確な商品配送は彼らのすごいスキルの一つだ。それが当面は大混乱に陥る可能性がある。追加的なコストは大きいだろう。
▼ でも私にとってショックだったのは、そうした表面上のことではない。特にセブン-イレブン・ジャパンだが、勝手発注を「報道された」ことに驚いている。噂ではあるが、かなり角度の高いうわさとして、スーパーバイザーや本部が加盟店に発注を強制させ、売り切れと要請することは今までもあった。だからこそ、恵方巻やらクリスマスケーキやらもろもろのモチベーション商品が大量廃棄されたり、アルバイトに買わせるという出来事が表面化していた。そりゃそうだろう、廃棄ロスが加盟店のコストになるフランチャイズモデルでだれが好き好んで在庫を過剰に持つものか。それがあるからこそ、第一次、第二次コンビニ加盟店訴訟が起こってきたのだ。
▼ 一方で、見返りが一切ないのでは誰もやる加盟店はいなくなる。当然見返り、ご褒美はあったし、廃棄ロスに見合う貸し借りは本部はしていたはずだ。また、セブン-イレブン・ジャパンのみならず、多くのコンビニでも似たようなことはしており、それを大量の広告宣伝、CM投入によりメディアを黙らせる力があったということでもある。それが今回報道されたということは、少なくとも抑え込める力が無くなった、もしくはそれを世情が許さなくなったことを意味する。
▼ 中間期の決算がまだ発表されているが、いつになく決算発表時期の途中なのにM&Aが発生している。消費税増税のあと再編が加速するのではないかとは多くの関係者が獏と予感していたことだが、現実になりつつある。そこにコンビニ報道だ。日本流通業の過剰面積については業態を問わず多くの経営者が語るようになった。ついにその日は近づいた。あとは低金利と過剰流動性による金融機関からのミルク補給がどの局面で絶たれるかだけだろう。
▼ 時代の流れなのかもしれない。フードロスはもはや絶好の政治ネタであり、ESG投資のネタであり、企業たたきのネタだ。新聞各社の押し紙やホテルにいけばタダで置いてある大量の新聞のことなど無視してメディアはたたき続けるだろう。流通業のつらい時代が始まり、コンビニはそのビジネスモデルの屈曲点が来たのだと思わざるを得ない。