▼ 首相主催の「桜を見る会」に首相の後援者を「その他の重要な人」という曖昧枠でたくさん呼んでいたことが話題になっている(スキャンダルと成っているというべきか)。
▼ 別にこれだけでなく、上手に税金や公費を使って色々なことで政治家は人気集めをしているんだろうとは思っている。しかし、それにしてもこれはやりすぎだ。やりすぎだけでなく、タイミングが悪すぎる。安倍政権の劣化を感じる。
▼ 民主党政権が終わり、自民党、なかんづく安倍政権が歓迎されたのは言うまでもなく「経済の回復」だ。3本の矢と呼ばれる明確な経済政策は、その多くが古典的なケインズ経済学とマネタリズムによるものだとしても、民主党の混乱した経済政策に比べれば遥かに共感を得られるものだった。そしてそれが政権初期には大きな効果をもたらしたことは疑いのない事実だ。今盛んになりつつあるアントレプレナー、スタートアップブームも若者のやる気だけではなく、超低金利という背景があってのことなのは疑いのない事実だ。
▼ この項は経済政策の成否を問うものではないので細かくは触れない。しかしながら、経済政策がしりすぼみに成っていることは事実だ。それの理由の一部が、インフレーションと需要過多と物価上昇というものがうまく切り分けされないで(=説明されないで)、インフレ政策を行ったことによるところが多いが、実際インフレターゲットでマネタリズム政策のみで需要増加が起こり、景気が良くなることは難しいと証明された。
▼ そこに森友学園問題、首相の妻の様々な言動、東京五輪の費用増大と先日のマラソン競歩の札幌開催などが網の目のように起こり、そして今回はついに税金を使って後援者を呼んで桜を見る会をしたというのが痛い。
▼ 困るのはその根本が年金を含めた社会不安が起こってきて、経済対策ではカバーできなくなってきているところに消費税増税を強行し、資本金5000万円以下の中小企業にはキャッシュレスポイントを与えるというわけのわからない手段に出たことだろう。これは民主党政権末期の混迷を感じさせる。やはり長期政権だと首相や内閣の問題だけではなく、みんながおいしいなにかに惹かれて好きなことを始めるということだろう。
▼ 来年の東京五輪後の経済がどうなるかは不透明だ。いや、みんな不安なのだが、それを言うと商売上問題があるから言っていないだけだ。しかし、需要なきところに供給が増えれば価格は下る。既に不動産価格はピークアウトしつつある。政権は経済を真剣に考えなければ足元をすくわれることは火を見るより明らかだろう。