▼ ユニーコーン、とは空想の生き物一角獣だが、アントレブームの今はとても大きい市場価値を持つのに株式未公開の企業のことを指す。このユニコーンが株式公開して巨額なマーケットプライスがつくことを期待しての言葉だ。金利ゼロ%どころか、マイナス金利になりそうな中、カネはジャブジャブにたまり、マネーの行き先がなくなっている。そんな中、また新たなバブルが蠢いてもう年々になるだろう。
▼ しかし、だ。その破裂の徴候が出てきたのではないかと、さんざんユニコーンや企業やアントレを煽ってきたメディアが風向きを変えた。また、新たなバブルであったのか。バブルは期待の中でアービトラージしようとする人間の心に巣くう本質かもしれません。具体的な出来事はWeWorkがうまく行っていないこととソフトバンクグループが巨額の投資をしたことだろう。日経新聞は2019/10/23の記事で「孫氏、ユニコーン戦略再考 マネー主導の拡大揺らぐ」というタイトルで報じている(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51321870T21C19A0EA2000/)
▼ 興味深いのはここまでベンチャー企業が資金調達に困ることはなかったが、状況がかわりつつあるというところだ。そして、実はここがメディアお得意の論理のすり替えなのだけど、「今年の大型上場は赤字が多い」とユーバーやリフトといったライドビジネスなどの例をあげているところだ。赤字とキャッシュフローが回らないことは全く別物なのだが、まあ記事にするには赤字が一番わかり易いので、それでごまかしているのだろう。Amazonだって赤字を脱したのはそんなに昔のことではないのだが。
▼ ただ、IPO株について詳しいわけではないが、IPOが発表される際にメディアで紹介記事が載り、アナリストレポートや会社案内が一般の人間も読めるようになってその内容を読むと、人材紹介とITとコンサルがやたらに多い。筆者特有の嫌味な言い方で言えば「自分で地を張って仕事をとるのではなく、人の手伝いをして、人のふんどしで相撲を取る商売」ばかりだ。これをビジネスというようにしてよいのかと思う。
▼ ウーバーにしても日本は導入が遅いから後進国だというけど、ウーバーの信頼を支えるお互いにつけるレーティングが食べログやAmazonでカネでつけられていることを考えると、少なくとも当局が管理をしているタクシーよりも安全なのかと言われると疑問を隠せない。また、人材紹介はようはマッチングビジネスで、その人材の個人情報も果たしてどこまでどう守られているのかということも甚だ疑問だ。ある有名な転職サイトに登録すると、自分が現在勤務している企業にその情報が漏れるらしいという噂は既に出回っている。本当のエグゼクティブ・サーチならまだしも、ヘッドハンターとか転職支援というやつにもレベルの上下はあるのだということを知らないとまずかろう。
▼ 金余りは今回は不動産と起業とベンチャーに向かったが、CVCもほとんどの起業でうまくいかず、最近IPOしてきた企業のレベルの低さを考えるとそろそろバブルの破裂も近いと思わざるを得ないと思う日々を過ごしている。