▼ 連休でボケた頭にビッグニュースが飛び込んできた。英国のスーパーのセインズベリーとアズダの統合。
 
英スーパー2位と3位が統合(日本経済新聞電子版 2018/5/1号から引用)
 【ロンドン=篠崎健太】英スーパーマーケット2位のセインズベリーは30日、米小売り最大手ウォルマート傘下で同3位のアズダと経営統合することで合意したと発表した。2社の市場シェアを単純合算すると3割強と、最大手のテスコを上回る規模になる。インターネット通販や格安店の台頭で集客競争が厳しくなるなか、規模の拡大で勝ち残りを目指す。
 経営統合にあたり、アズダの株式価値を約73億ポンド(約1兆1千億円)と評価した。実質的にセインズベリーがウォルマートから事業買収する形になる。ウォルマートは統合会社の株式42%と、現金29億7500万ポンドを手にする。
 
▼ テスコは長らく英国スーパーマーケット業界の一位に君臨してきた。一方、アズダはウォルマートの数少ない先進国での成功例であり、それが売却されたということの意味するところは大きい。「対Amazonへの戦略強化がさらに必要になってきた」ということだろう。
 
▼ アナリストをしていた10年以上前、日欧米のアナリストでチームアップして「3 horse races」というレポートを書いた。ウォルマート、テスコ、カルフールのグローバル三社に関するレポートだ。特にアズダの成功は新興国でしか成功したことのないウォルマートの唯一の成功例として大きく取り上げたものだ。

▼ 一方、テスコはテスコでロイヤルバンクオブスコットランド(RBS)の買収によるテスコ銀行の設立で、クレジットカード会社経由である日本小売業による金融進出とは全く別の金融進出を行った。セブン銀行以降の日本小売業の銀行設立がこの影響を受けているという想像は容易だ(回転差資金がある小売業にとっては欲しいファシリティだ)

▼ ウォルマートが手にする30億ポンド弱は邦貨で4500億円ほど。あれほど誇りにしていたアズダを手放す対価としては少ないような気もしなくもない。それが今のウォルマートの置かれたポジションということか。