▼ 眠い目で朝刊をこすり、新聞の経済雑誌の広告を読む。慶応、経済と物理、セブン再出発….ふむふむ。。。おや?、なかなか香ばしい小見出しを見つけました。

▼ 「『社外役員は勘違いするな』ガバナンスのご意見番・宮内義彦氏が喝!」。おぉ、そういう意見がついにメディアに載るようになりましたか。溜飲を下げている経営者、創業者の方も多いのではないかしらん。

▼ もちろんガバナンスもコンプライアンスも透明性も大事なことはわかっております、ええ。でもですね、きちんと事業のことを理解できて、何かあれば自分でケツを拭いてみせるわいなんていう社外取締役候補なんて何人いるんですかね、日本に。

▼なんでもテレビと新聞で名前が売れた大学教授とか評論家とか元経営者は社外役員のオファーが殺到しているというじゃないですか。大学教授っていっても「特任教授」とやらの、要するにパートタイマー先生が殆どというのが何ともおかしい。パートタイマーで教官やっているヒトに会社の運命任せるのは怖いよね。

▼ おまけにその特任教授が「日本のあるべきROEは8%だ」なんて言っちゃうから、もう大騒ぎ。でも、ROEは、利益率×回転率×自己資本の逆数なわけで、要するに「借金して自己資本減らして、それで稼いで数字を作れ」ってことで、リーマンショックによる資金ショートで多くの会社が潰れたのを見た私にはとても恐ろしくて言えません。

▼ どうもこの2-4年、みんなリーマンショックやらバブル崩壊やら1997年の頃の苦しみを忘れちゃってますね。企業は赤字だから潰れるのではないのです、キャッシュがショートするから潰れるのです。そして、オカネを外部から調達するには銀行から借りるか自己資本増強するしかありません。でも銀行から借りたら返さねばなりません、金利も元金も。株式は配当政策次第では実質無コストです、元金も返さなくていい。

▼ ま、こんなことを言うと、欧米のファンドやらが目をつり上げて怒るんだろうけどね、でも、本当でしょ。ファンドファンドというけど、彼らだって安く会社を勝って、ちょこちょこっとイジリ回して、東大でハーバード出た社長をお飾りに据え付けて、んでもって企業価値が上がった様に見せかけて高く売り抜けるだけじゃないのかな。

▼ 閑話休題。あたしゃ、ROE8%の根拠がいまだに全くわからんのですよ。利益率、回転率、自己資本比率は何%で前提が組まれていて、それぞれの背景は何なのか?。回転率上げるたって商慣行を改善しなけりゃ上げられないでしょ。日本の商慣行は1-2年で改善するのか。自己資本比率は低くしてレバレッジかけとろいうけど、想定しているリスフリーレートとリスクプレミアムとベータは何年間のものをどういう理由で持ってきて最適資本構成を計算しているのかね?かけ声だけで8%というだけじゃ、「年末までにン百億円稼げ!」と言ったという電気屋さんの社長と変わらんよ。

▼ 閑話最休題。社外役員、ガバナンス、投資家重視経営、コンプライアンス…..あたしにはどうしても「デジャビュ(既視感)」にしか見えないんですがね。「この道は、いつか来た道」、日本の童謡はいいですな。しっかりと真実を織り込んでいる。たいしたもんです。