▼ 大手電機メーカーの「利益かさ上げ」が連日話題を呼んでいる。しかし、堀江貴文氏に言わせれば「これを粉飾決算と呼ばないところに『マスゴミ』と呼ぶ今のマスコミの本質が出ている」。同感だ。もっとも粉飾決算と呼ぶには強制捜査が必要なのだろうが。
▼ コーポレートガバナンスコードが決まり、ROE経営が喧伝される中、日本企業の「正義感」や「誠実さ」が薄れているように感じるのはなぜだろう。コーポレートガバナンスは結構だが、結局のところそれは倫理観や公器としての企業というものを背景にしたものでなく、「ポピュリズム」としてのそれでしかないからだろう。
▼ 経営者をみていると可哀想で仕方がない。長期保有、安定株主、安定経営を夢見てコーポレートガバナンスを組み立て、借金して自社株買いしてROE上げて、ROE30%になったとしても、それは株主にすれば「三年で元を取れるから、売り飛ばせば良い」と短期投資志向になるだけのことだ。政策低金利における金余りの中で、投機で儲けたい連中に資するだけの話だ。
▼ ウォーレンバフェットが何かで書いていたのが「ROEを自分は求めない」という言葉。自分の選別眼で砂浜からダイヤモンドを探せる投資家にとって、コーポレートガバナンスやらROE経営やらはどうでも良い話だ。人々を幸せにする製品や商品やサービスや技術を作り出そうとしている企業の株を買い、そこが大きくなり、人が幸福になる。それが株式市場の本質だったはずだ。
▼ 「ポピュリズムとしてのコーポレートガバナンスには我が社は興味ない。伊藤レポートのROE8%を政府が推奨するならば、その背景となる算式は何か、前提根拠は何かを示せ」と語ってくれる経営者が出ることを切に祈る。