▼ 現在は2022年1月。オミクロン株の爆発的感染力でメディア報道は大騒ぎだ。いや、メディアだけではなく、企業などの多くの組織が1年前と同じく対面をリモートにし、出勤を在宅勤務にし、飲食店は①年前より緩やかながらも営業規制がかかっている。時を戻したようなこの状況に、溜息をつく声も増えた。
▼ しかし、ゼロコロナではなくwithコロナだからなぁ、と自然に思い始めている世間の雰囲気も感じる。何よりリモート、オンラインでの接触は確かにお互いの空気感や雰囲気は読めないものの、(1)物理的な距離がもはや障害ではなくなった、(2)知識や情報を得るコストが劇的に低下した、というとんでもなく凄いメリットをもたらしている。
▼ 先日、使っているパソコンでトラブルが起こった。以前だったら、あちこちいじり回して、結局復旧不能にして呆然としている自分がいたはずだ。ところが、今はすることは簡単である。まずGoogleで検索する。検索ワードも難しく考えることはない。「XX 動かない エラーメッセージ 対応策」と電報みたいな文章で的確なところに導いてくれる。さらにもっと便利なのはYouTubeだ。パソコントラブルの説明書を文字で読んで理解出来る年齢は超えた。そこにYouTubeの動画説明は威力抜群!。おおよそのトラブルはこの方法で解決出来るようになった。
▼ もちろんwithコロナのデメリットも少なくはない。(1)リモートで空気感が読めないのでなんとなく隔靴掻痒なコミュニケーションになる。(2)食べたり飲んだり一緒に出掛けて共有体験が出来ないモヤモヤ。(3)それらのせいで新しいアイディアや閃きが生まれにくい。そして何よりも(4)二年間もお籠もり生活をしていることによる心身共への悪影響。これは下の図を見れば一目瞭然だ。毎日、メールとZOOMとでディスプレイを見つめている私にも、目の疲れは深刻な問題だ(なんとコロナになってドライアイの目薬が二倍の速度で減るようになった)。
▼ ところが、だ。やるべき仕事をしてしまうと、意外と時間を持て余している自分がいないだろうか?。そりゃそうだろう、なによりも通勤時間が劇的に減った。片道1時間として1日2時間は時間が浮く。メールとオンライン会議はかったるいが、でもオンライン会議だとマウントを取る人も少なく、すんなりと結論が出て、「はい、散会!」となることが遙かに多くなった。メールだって、あの未読の山にはウンザリするが、逐次返信していけばいいので、どれを先にやって、どれを後回しにするか結構自由に決められる。
▼ つまり「時間金持ち」が増えているのがwithコロナなのだ。ついでに言えば、旅行にも大きな買い物にも出にくいので、お金もさほど使わないので本当の「お金持ち」にもなっている。一年前の春~夏頃は、いつもやりくりにヒィヒィ言っている自分のお小遣いが余って驚いたことさえある。
▼ ただこの「時間金持ち」は持っている資源の使い方が下手だ。どこかへぶらりと散歩に使おうと電動自転車を買ってみて、近くの川沿いや図書館なんかにいってみたのだが、今ひとつしっくりこない。電車に乗って感染に気をつけながら、空いている店や商業集積に入って見るのだが、さほど欲しいものもないので、これまた時間を持て余す。仕方ないのでNetflixなんぞに入会して「イカゲーム」を見るのだけど、こいつは在宅勤務と同じで「目」を使うので結構疲れる(「イカゲーム」「浅草キッド」「全裸監督」は絶品だったけどね)。そう、実は時間を持っているけど使い方をしらない時間貧乏なのである、私達は。
▼ この有り余る時間資源と多少のお金をうまく使って、withコロナを楽しめる消費を生み出せたらメッチャおいしい商売だろう。Netflixの会員が伸び悩んだと言うが、あーた、それは贅沢というものよ。買い物だって、もう店で買うよりもネットで検索して、ショールーミング的に店にいって現物確認して、ネットで買った方が荷物が少なくて楽だ。
▼ 思えば、東急ハンズのカインズによる買収=東急ハンズの地位低下も、ネットで何でも探して買えるようになったからじゃないか?。東急ハンズの面白さは、「お、こんなものがあるんだ」という意表を突いた品揃えの面白さだった。しかし、コロナで加速されたECの世界はありとあらゆる面白い商品や製品をワンクリックで買えるようにしてくれた。それだけじゃない。Makuakeやクラウドファウンディング式製品開発では、「これ欲しかったんだよね」と思うものを作ってくれる。もはや渋谷の東急ハンズに行って買い物する必要なんてないのだ。
▼ さあ、ますます時間はあまるぞ。この資源にどうお金を使わせるか考える、そんな競争が既に来ている。