▼ 「所有と経営の分離」ということが言われて久しい。株主として企業を所有する者と、経営者として企業をコントロールする者を分けることで、企業統治(ガバナンス)を機能させようということだ。いわゆる同族経営や馴れ合い経営で、企業の意志決定が歪められないようにしようという意志が背景にある。

▼ でも、果たして、社外取締役や社外監査役を入れれば、ゆがんだ意志決定は本当に避けられるのだろうか?。わたしが昔、担当した企業で社外取締役制度、委員会制度を入れてしまったことで、経営トップの暴走を止められなかったケースが実はある。何故か?。社外取締役が、その企業の属する産業や業界について余りに無知で、一般論でしか語れない人ばかりだったからだ。

▼ 加えて社外取締役の多くは「有名人」「知識人」であり、社外取締役を掛け持ちしていることが挙げられる。一社の取締役をするだけでも重荷なのに、数社~十数社の企業の社外役員兼任は相当は負担だ。もちろん彼らは自身の本業がある。

▼ 大和総研が過去に書いたレポートはユニークだった。「社外役員を置きましょう」ではなく、「社外役員を置かない理由は何か?」を問う方向に向いていたからだ。それは所謂「投資家」にとっては透明性を増すのだろうが、意志決定の迅速性や本気度において良いことなのか?。実は投資家がその企業に投資するための「言い訳」を作っているに過ぎないのではないか、そんなことも感じるのだけど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です