・ 例年にない厳冬で、春のお彼岸になってやっと梅の花が見頃になった。ネットで調べて、満開だという亀戸天神に行く。天神さんだから、菅原道真公をお祀りした神社。
・ 菅原道真と言えば、飛梅。飛梅といえば、さだまさしさんの名曲。「東風吹かば、思いおこせよ、梅の花、主無しとて、春な忘れそ」。その余りの賢さと繊細さゆえに太宰府に左遷された彼の心やいかばかりであったか。それから千年以上も経った今、学問の神として梅の花とともに彼のことを記憶しているこの国の人々は、組織や人の世の不条理さ、虚しさを一番知っているのかもしれない。
・ 亀戸天神の境内からは東京スカイツリーが生えているように見える。今までは、増上寺と東京タワーが昭和を代表するコントラストだったが、これからは亀戸天神とスカイツリーが新しい時代のコントラストになるのだろうか。それでも菅原道真公が味わった苦渋をまた味わい、味わわせる人の世は続くのだろう。