2008年9月15日、それは僕にとって忘れられない日です。「リーマンブラザーズの破綻」、所謂リーマンショックの起点です。この影響は今のユーロ危機、円高、米国の赤字などへいまだ影響を与えています。
その観点から、知人がこんなことを話してくれました。
(1)ビジネスモデルがどうこうではなく、ビジネスというものそのもの自体が持続しうるのかという問題に直面しているのではないか。
(2)リーマンショックで大きな打撃となった金融商品CDSは運用損失をカバーする保険である。しかし、保険に入っているからこそかえって不注意になるという逆ロジックを人間は時々やってしまう。
(3)CDS問題は管理不足なのか、それとも管理不足を装った悪意なのかが重要なポイント。なぜならば、モラルハザードという根幹に触れることだから。
(4)経営が失敗したから国家が資本注入をするというが、それを見越して一か八かのばくちに打って出たのではないかと言うことを知る必要がある。
(5)CDSの総額はピーク時、世界のGDPと同額であった。つまり、地球と同規模のバブルである。しかも本来保険である以上、CDSは原債券と連携しているのだけど、CDを売買するトレーディングは原債券と無縁のところで行われていた。
(6)保険というのは本来、「起こってほしくないこと」にかけるもの。しかしCDSはかけたことが起こるように考える参加者が半分いる。これはもはや保険ではない。
(7)CDSは高いスプレッドを出せばいくらでも価格操作できる。顧客を持つ人はモラルハザード起こりにくいし、持たない人はなんでもやる。
(8)信用は人生を使って積み上げるもの。その信用を賭けの対象とした結果、ベイルアウトをおこし、正直者が損をする文化を容認してしまった。そしてそれがビジネスの信用信頼を破壊し、ビジネスというモデル自体が存在するのかという根源的問題に発展してしまっている。
(9)倫理的態度と貪欲さをどう両立させるのか。もし本質が貪欲さであるならば、誰も運用ファンドにお金を預託しないだろう。しかし、いきすぎたことは事実。
(10)金融に携わる人間が気をつけないと行けないのは、「貪欲さと信用が両立するのは金融機関だけ」ということ。この奇妙な特性を分析すると、要するに「僕には儲けさせてくれる」という信用であって、世間で言われる信用・信頼ではない。金融業界はモラールハザードに対して最も疎い業界かもしれない。だからこそ、様々な法令や社内規則でモラルハザードを規定しているのかもしれないよ。
まことにもって耳が痛い話です。