《 一人出張ならば居酒屋夕食 》
西日本で五日間連続出張というヤツをやってきました。出張自体は海外の機関投資家向け出張というヤツで鍛えられたつもりで居ましたが、いやはや、今回はチクとばかり参りました。予算制約上、タクシーがつかえないということとこの猛暑!。特に福岡では、外に出た瞬間、まさしくサウナでありまして、ここまで暑いと脳細胞がプチプチと潰れていく音が聞こえる気が致します。
こういう時の楽しみはとにかく一刻も早くホテルにたどり着いて、一回シャワーを浴びて、さっぱりしてから近くに夕食に出ることです。といっても、ひとりぼっちの旅芸人。行くのは小安そうな居酒屋です。以前はネットを駆使して、評価の高くて値段も手頃なレストランを探したものですが、最近はまず居酒屋!。酒が飲みたければ酒があるし、食事も冷凍モノをチンとしているのサと割り切れば、それなりに色々なバリュエーションもあります。しかも早めに仕事が終わったときは混む19時前には食べ終わって会計できるのも魅力。
というわけで、一人出張ならば居酒屋です。
《 格安居酒屋評 》
それにしても居酒屋の価格戦争は激しさを増しておりますなあ。東京では「金の蔵」というのが270円均一でやっておられて、なかなかのものです。「これもチンなのかな」と思う焼き魚なんかもあって、近代調理器械の凄さを知る思いです。
他には関西中心にやっている「鳥貴族」というのがあって、ちょっと名前を聞くと引いてしまうのですが、肉の中で鶏肉が一番好きな自分にとっては中に入ってみると以外や以外。串は店で打つそうですし(人件費が合うのでしょうか?)、ビール中と発泡酒大が同じ価格という粋なこともしています。フランチャイズ店らしいのですが、無垢板と思われる木材を使っている内装はなかなか寛ぐ幹事です。ただ、いずれの木材にも大きな節がありますので、節があって建築資材で使いにくい部材をあえて使っているのでしょう。値段は280円均一。ただ、なにせかにせ焼き鳥、焼き鳥、焼き鳥!の攻撃ですから、多くは食べられません。この出張で死ぬほど食べてみましたが、3800円くらいでした。
そうそう、先日もワタミが開発した超激安業態を紹介しておりました(出張中は結構テレビを見る回数が増えます)。なんでも、手元のタッチパネルで注文し、自分でとりにいくのだとか。うーん、でも、タッチパネルで注文するだけで相当程度コストは抑えられるわけで、自分で取りに行くというのはどうかしらねぇと思うんですが、いかがでしょう。確かにタッチパネル注文というのは「すみませーん」と数少ないホール係を呼ぶ事もなく、注文できるので便利です。私は「北海道」という居酒屋でこれに遭遇したことがあります。ゲーム感覚で面白いし、幹事役もラクです。でも、自分でとりにいくとなると….。それならば、回転寿司よろしくオートメーション化してくれる方がうれしいかな。テレビの紹介番組では配膳しない割にはやたらと厨房に人がいて、「そんなに人が余っているならば、配膳しろよ」と思ってしまいました。そもそも、セルフで飲むならばスタンディングバーとかアイリッシュバーのようなキャッシュ&キャリーにいきますよねぇ。
《 格安じゃないけど妙に面白い居酒屋 》
ただ、その一方で私の会社の友人が二つほど妙な店を見つけてきました。一つは「はなこ」という炙り焼きの居酒屋を探してきましたが、これが凄い。くわしくはホームページをご覧いただければいいのですが(http://i-hanako.com/index.html)、「ここは何の店ですか」と聞きたくなるようなホール係のコスチュームです。彼曰く、後輩を三人ほど連れて行ったらメチャメチャ受けたので、それから一ヶ月間で四回行ったと。完全なノー天気ですね。同期ながら恥ずかしくなります。
もう一つ彼が見つけてきたのが、なんと「大手町ラーメン」。大手町にもラーメン屋はあるでしょうが、場所が強烈です。JRのガード下で、しかも物凄く寂れた場所で私は思わずニューヨークの100何丁目を思い出すくらいスリリングな場所です(http://r.tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13037990/)。で、その同期の馬鹿は、ここで飲もうというのです。何が悲しくて残業サラリーマン相手のラーメン屋で飲まねばならないのかと思ったのですが、これがなかなか宜しい。まず場所が場所なのでおつまみ系統のメニューを頼むと、物凄い量が出てきます。おまけに飲み物は、最近でこそ生ビールが入ったようですが、マスターが注ぐ生ビールよりも缶ビールが旨い。しかも、おつまみだろうと、飲み物だろうと全て食券制。食券を買ってマスターに渡して、冷蔵庫から缶ビールやチューハイや日本酒を取り出して飲みます。このゆるさがなんとも言えません。
何でも結構立ち飲みが流行っているそうですが、よくわかります。価格破壊も重要ですが、「大将、レモンチューハイ一本貰うね」「ん、250円ね」と小銭をチャリンと渡すなんていうのは風情があります。実は居酒屋戦争はかなり本質的なところ、つまり「仲間と安く飲める」という部分と「人とのふれあいを求めている」という部分に分かれているのではないかしらん、と思えてなりません。考えて見れば、居酒屋全盛期の頃だって、結局は利益率の高いチューハイの一気を方々のテーブルでやっていたので儲かっていたわけですし、いつの世も居酒屋は戦国時代なのかもしれません。
《 原点回帰をしているだけですかね 》
むしろ、ちょびっとばかし景気が良い時期があって、おしゃれなバーとか(でも、グラスに入っているのは氷だけ。飲み物は少ない)、値段だけべらぼうに高いけど、「すしざんまい」の方が気楽で旨いという高級寿司店などに行っていた客が戻ってきただけなのではないでしょうか。
そうすると、いつの世でも居酒屋は安いのが当然で、それを新しいモノであるかのように取り上げては毎日どこかのキー局で放映しているテレビ局の方がはるかに進化が遅いようにも思います。