《 業態別既存店増収率と粗利益率動向2 》
 さて、先週の続きで決算発表第2週目の報告です。すべて決算発表資料や決算説明会といった開示された数字から拾っております。

百貨店 全店ベース客数+2.6%、同客単価△4.7%、同購買率△2.6%/粗利益率25.39%%(前期比△0.62%)
百貨店 全店ベース客数△2.6%、同客単価△11.6%、同購買率+1.2%/粗利益率24.36%(前期比△0.39%)
百貨店 既存店△9.5%(客数△11.7%、客単価△2.5%)/粗利益率23.3%(前期比△0.6%)

GMS 既存店△6.7%(客数△0.8%、客単価△5.2%)/粗利益率23.4%(前期比△1.3%)
GMS 既存店△5.6%(客数△2.6%、客単価△3.0%、買上点数+1.3%、一品単価△4.2%)/粗利益率2.8%(前期比△0.3%)
GMS 既存店△5.3%(客数+1.2%、客単価△0.6%、買上数量+1.7%、一品単価△8.1%)/粗利益率26.7%(前期比△0.4%)
GMS 既存店△4.3%(客数△0.8%、客単価△3.3%、買上数量+3.5%、一品単価△7.4%)/粗利益率26.1%(前期比横ばい)

CVS 既存店△4.1%(客数△1.0%、客単価△3.1%)/粗利益率30.4%(前期比+0.3%)
CVS 既存店△4.5%(客数△1.2%、客単価△3.3%)/粗利益率30.0%(前期比△0.4%)
CVS 既存店△5.6%(客数△3%、客単価△2.6%)/粗利益率27.64%(前期比△0.47%)

SM 既存店△2.9%(客数△0.3%、客単価△2.6%、買上点数+0.9%、一品単価△3.5%)/粗利益率25.8%(横ばい)
SM 既存店△6.3%(客数△2.6%、客単価△3.8%、買上数量△1.1%、一品単価△2.7%)/粗利益率25.6%(前期比△0.3%)
SM 既存店△4.2%(客数△1.5%、客単価△2.8%、買上数量+0.8%、一品単価△3.6%)、粗利益率23.2%(△0.1%)
SM 既存店△1.8%(客数△2.6%、客単価+0.8%)/粗利益率25.3%(前期比+0.4%%)
SM 既存店△2.1%(客数△3.5%、客単価+1.4%)/粗利益率24.4%(前期比△0.6%)
SM 既存店+1.9%(客数+1.1%、客単価+0.9%)/粗利益率20.3%(前期比△0.4%)
SM 既存店△6.5%(客数△3.2%、客単価3.2%)/粗利益率24.2%(前期比N.A.)

HC 既存店△3.4%(客数+1.0%、客単価△4.3%)/粗利益率32.4%(前期比+1.1%)
HC 既存店△5.%(客数△1.0%、客単価△4.1%)/粗利益率30.1%(前期比△0.5%)

専門店 既存店+1.1%(客数+6.9%、客単価△5.4%)/粗利益率56.8%(前期比+0.8%)

外食 既存店△7.0%/粗利益率52.1%(前期比+0.9%)
外食 既存店△10.9%/粗利益率76.4%(前期比+0.9%)
外食 既存店△8.4%、粗利益率59.6%(前期比△0.5%)

《 第一週の振り返り 》
 先週の第一週の特色は以下の通りと述べました。、
(1)既存店増収率は殆どがマイナス
(2)既存店マイナスの要因が客単価下落だけではなく客数減少とのダブルパンチ
(3)粗利益率の前期比は総じてマイナスだがばらつきがある
(4)GMSの買上点数は全て増加
(5)好調企業は客数・客単価・粗利益率トリプルで上昇

 これを受けての結論は
(1)経営者は低単価に振りすぎた反省を述べ向きが多い
(2)1月、2月頃からの売上、単価動向の雰囲気変化も感じている
(3)過度な低単価消耗戦から「選択消費」「MD変更」「「在庫適正管理」に戦略シフトするのではないか
でした。仰る方も多いように感じます。

《 津波が去って、夜が明けて 》
 では第二週の話を。第二週の決算シーズンを経ての印象は、とにかく「企業が元気になってきている」ということです。経営者のコメントで印象に残ったものをアットランダムにあげてみましょう。
・「新業態開発の積極化」
・「MD改革」
・「現場主義」
・「これまでにない売場作り」
・「高感度ディスカウント」
・「小商圏フォーマット」
・「損益分岐点下げながら顧客を飽きさせない」
・「安易な物件開発とMAは御法度」
・「高級イメージ付大衆商法(百貨店)」
・「資源集中」
・「大商圏と小商圏でのMD精査」
・「PBバブルに踊らないPB作り」
・「グループ企業の専門化とスピンオフ」
・「製造小売業へのシフト」
・「プライスリーダーシップ」
・「PBが利益商品から低価格商品になったことへの反省」
・「あるべき論の思い込みを捨てた新規顧客開拓と新規事業とサービス拡充」
・「間延びした店にメス」

 企業の歴史や業績、エリア、業態が全く違った企業経営者のコメントを集めた物ですから、「はぁ?」と思われる内容もあるかもしれません。しかし、一週間びっちり説明会のお話しを聞いて感じたのは、一週目の「低単価にかき回されたけど業績的には何も残らなかった」という反省に加えて、二週目の「やるべき事は、結局はウチにしか出来ないこと(差別化)だ」と、経営者が覚醒してきたことです。

 もちろんこれらの施策がやれるかどうかには何の保証もありません。しかし、2009年度はリーマンショックに低単価競争に経済状況の悪化に新会計システム(IFRS)…..と、「もう勘弁してよ」という位に次から次に来た課題の波がやや収まり、企業サイドで頭の整理が出来てきているような感じを受けています。

《 今年はおもろいかもしれんで 》
 あるアパレル関係の方から「マスコミはダメやダメや言うて消費を軽んじているけど、実は今年は小売は面白い年になるかもしれへんよ」と仰いました。最近の小売業サイドとの会話や自社のSPA店舗の動向を見ての感想だそうです。で、私も同意見です。業績が増益になるかどうか、一株純利益が増加するかどうかといった点に関しては不透明な状況が続いていますが、少なくとも、「何をせんといかんのか」ということに企業経営者は気づきつつあるように思います。それが第二週の率直な感想です。

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