老舗のオーディオメーカー、オンキヨーが本日付けで上場廃止となります。

私は大学生時代、オーディオの販売員のバイトをしていていました。
所属はパイオニアからトリオ(現ケンウッド)、日本マランツと渡り歩きましたが個人的 にはオンキヨーが大好きで、バイト代を貯めてはスピーカーのM6とかの製品を買っていました。

しかし、フィリップスに買収された機会にデジタル化を進め意欲的な製品を世に送り出した日本マランツに比べて、オンキヨーはともかく「pure audio」。
デジタルでも名機は生むがどこまでも機械志向、出てくる音までは責任持ちますと言う感じで、音の先にあるリスナーの利便性や楽しみ方となるとどうも今一つでした。
結果企業としての業績は下降の一途をたどります。何度か事業譲渡を模索したのですが現在も果たせず、株価も7月30日の終値は1円となってしましました。

これだけのモノづくりが出来る会社がもったいない、誰か日本企業が助けてやらんのかいなと思う一方で、モノづくりにこだわると言えば聞こえは良いがその先にあるユーザーのそばに寄り添えない、ユーザーの新しい楽しみ方を提示できない日本企業の象徴の様に思えます。

そんな中、私は何とか大好きなオンキヨーのために何かがしたいと思い、大枚をはたいてオンキヨー最後の名機と言える小型スピーカー「D-TK10」を購入しました。キャッチフレーズにある「アコースティックギターづくりの名門高峰楽器製作所とのコラボレーションで生まれました。」と言う段階でこの会社がこのようになった理由がわかるのですが、マホガニーでラウンドした筐体はため息が出るほど美しくこのサイズでは信じられないような深い音を紡ぎ出してくれます。
多分私は今持っている他のオンキヨーの機器も併せてこのスピーカーを死ぬまで持ち続けるのだろうと思います。オンキヨー。本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

株価の推移。

一時は1000円越えもあったが。

4吉岡素成、橋谷 秀一、他2人

One thought on “オンキヨーへの鎮魂歌”

  1.  楽器業界は長く不況に喘いできた。東京お茶の水といえば学生街、そして楽器店で有名な地区だが、その経営は非常に厳しかったと聞いている。逆にあちこちにできた大きな商業施設に入った楽器店はそこそこ上手なビジネスを展開しているとも(スタジオや音楽教室のせいもあるだろう)。
     ところが、ここ10年くらい、楽器業界、特にポピュラー音楽に使われる楽器(ギターやベースやドラムや関連電子機器)を扱っている楽器店は活況を呈している。いや、活況はオーバーかもしれないが、なかなか回復している。理由は、学生時代に音楽にはまったサラリーマンの親父が、子育てが終わり、若いときの夢の楽器に回帰しているからだ。
     中高生の頃はギターは数万円もする高価なプロダクツだった。しかし、40代、50代、60代となるとクレジットカードで数十万円のギターは買えないレベルではない。自動車を買い換えるコストを考えれば、最上級モデルのギター(除くクラシックギター)でも100~200万円というのは決して無茶な金額ではない。そんな高額なビンテージじゃなくても、20-30万円で米国の有名ギターの上級モデルが買える。
     オーディオ(いわゆるバラコンと言われる)ブームは1960年代~1980年代まで長いファン作りをしてきた。そしてこれらの人達が今、ギターを求める世代と重なっている。それが証拠にLPレコードとアナログレコード針のナガオカの復活、ディスクユニオンの人気など、ピュアオーディオの復活の兆しはすぐ目の前にあった。
     そうした中でのケンウッド(パイオニア)、オンキョーなど、その回路設計の素晴らしさに定評のあるオーディオメーカーがいなくなることは残念でならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です